ボールねじの精度の等級-2
2023/03/28
# 技術情報
HEADWAY ボールねじの紹介
2-2 軸方向のスキマ及び予圧の設計
予圧は軸方向のバックラッシを取 り除き、かつ軸方向負荷によりね じ軸の移動時の偏りを減らしま す。従ってボールねじの剛性を高 めるという2 つの効果を持ちま す。ボールねじは軸方向の負荷 を受けるのでボールトラックの最 良の予圧タイプはゴシック形で す。この溝形状は、ボールと溝 に対して特殊な接触点を持つこと により軸方向のバックラッシを解 消し、ナットの剛性を高めます。 予圧関係とともにゴシック形の断 面が図2-2.1に示されています。 | 独特デザインのゴシックボールねじ溝は、ボールの接 触角を約45°にすることが出来るために外部の駆動力ま たは内側の予圧の力から生じる軸方向Faは2種類のバ ックラッシを作りだします。その一つはボールねじ溝と ボールの間の製造時のクリアランスにより作り出される 垂直バックラッシです。他のものは接触点に直角な垂 直力Fnにより作り出される変位バックラッシΔLです。 クリアランスバックラッシは,予圧内力Pにより予圧を 受けるシングルナットに対してボールサイズを調節する ことにより解消することが出来ます(図2-2-2)。 移動バ ックラッシは予圧内部力および外部負荷力により生じ、 動作損失の効果のもたらすものに関連します。 |
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シングルナットボールねじの予圧方法 | |
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図2-2.2 | ||
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上図のように、ボール溝に溝溝より若干大きな径の鋼球を挿入し、ボールと溝とを4点接触させた構造で、軽予圧に適しています。 |
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図2-2.1 |
提示技術: 過大な予圧は摩擦トルクが増大し、昇温させ予測寿命が低下します。半面予圧が小さすぎると剛性が低下し誤作動を起こし易くなります。CNCマシン用では最大の予圧が基本動定格荷重の8%を超えないことを推奨します。FA関係とX-Yステージ用では最大の予圧が基本動定格荷重の5%を超えないようにしてください。 |
予圧を加えた状態のボ ールねじを回転させ、 予圧トルクに関係する 用語は図2 - 2 . 3 に示さ れた通りです。 予圧ト ルクの許容変動値は 表 2 - 2 . 4 に示されている JIS規格として設定致し ます。 |
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図2-2.3 |
用語解説
(1) 予圧 ボールねじのバックラッシの低減や剛性の増 大を図るため、1群の鋼球を組み込んだり、 または、相互に軸方向に変位させた1対のナ ットを使用してボールねじ内に作用させる力 |
(5) トルク変動率 基準トルクに対するトルク変動値の割合です |
(6) 実トルク 実際のボールねじの測定予圧動トルク |
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(2) 予圧動トルク 所定の予圧が付与されたボールねじのナット が、外部荷重を作用させずに回転します |
(7) 平均実トルク ねじ軸のねじ部有効長さ内に、ねじ軸を定速で回転しつつ、ナッ トが特殊装具に拘束し、実トルクの最大値及び最小値の平均数値 を測定が出来ます |
(3) 基本トルク 図2-2.3は引張トルク測定に関する解説 |
(8) 実トルク変動値 ねじ軸のねじ部有効長さ内に、ねじ軸を定速で回転しつつ、ナッ トが特殊装具に拘束し、基準トルクに対して正および負にとります |
(4) トルク変動値 目標として設定した予圧動トルクの変動値 基準トルクに対してプラスまたはマイナスに なります |
(9) 実トルク変動率 平均実トルクに対して実トルクの変動値の割合です |
予圧トルクに対する変化範囲
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基準トルク kgf.cm |
ねじ部有効長さ mm | |||||||||||
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4000以下 | 4000~10000未満 | |||||||||||
細長比1:40以下 | 細長比は1:40~1:60 | - | ||||||||||
等級 | 等級 | 等級 | ||||||||||
を超え | 以下 | C0 | C1 | C2、C3 | C5 | C0 | C1 | C2、C3 | C5 | C1 | C2、C3 | C5 |
2 | 4 | ±35% | ±40% | ±45% | ±55% | ±45% | ±45% | ±55% | ±65% | - | - | - |
4 | 6 | ±25% | ±30% | ±35% | ±45% | ±38% | ±38% | ±45% | ±50% | - | - | - |
6 | 10 | ±20% | ±25% | ±30% | ±35% | ±30% | ±30% | ±35% | ±40% | - | ±40% | ±45% |
10 | 25 | ±15% | ±20% | ±25% | ±30% | ±25% | ±25% | ±30% | ±35% | - | ±35% | ±40% |
25 | 63 | ±20% | ±15% | ±20% | ±25% | ±20% | ±20% | ±25% | ±30% | - | ±30% | ±35% |
63 | 100 | - | - | ±15% | ±20% | - | - | ±20% | ±25% | - | ±25% | ±30% |
表2-2.4
注:1.細長比はねじ軸のねじの長さ(mm)をねじ軸呼び外径で除した値をいう。
HEADWAY ボールねじの軸方向隙間及び予圧等級
等級 | PO | P1 | P2 | P3 | P4 |
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隙間 | 有 | 無 | 無 | 無 | 無 |
予圧 | 無 | 無 | 輕 | 中 | 重 |
予圧力の計算 | 基準トルクTρの計算 予圧を与えたボールねじの基準トルクTρ(kgf・cm)を以下の手順で計算します。 |
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Tρ = 0.05 (tanβ)-0.5‧ | ||
ここで、FAO = 予圧荷重(kgf) β = リード角 𝓵 = リード(mm) |